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Posted by TI-DA at

2008年06月08日

物語消費論の基礎とその戦略

2008/05/23
物語消費論の基礎とその戦略
安谷屋 邦尚

(概要)
1、<物語>への飢餓とその根拠
人が<物語>を欲するのは<物語>を通じて自分を取り囲む<世界>を理解するモデルであり、人間はその<物語>に縛られる事により安定するからである。社会に縛られる、あるいは縛ってくれる社会の存在を明らかにする事が<物語>を欲する理由である。しかし<物語>から<共同体>が切り離された<物語ソフト>を消費することではその飢餓感は満たされることは無い。この飢餓感が複製や流通の技術と結びついて個人で消費できる量を遙かに超える量の<物語ソフト>の氾濫を生んだのである

2、物語消費の構造
歌舞伎の時代では<物語>を作るのは送り手の役目であったが、現在では受け手である消費者となっている。しかし多くの消費者は全くの無の状態から<物語>を創造する事はできない。そこで、送り手は<物語>を創造する要素として<世界>を用意し、それを利用して<物語マーケティング>を仕掛けている。

3、<世界>の管理者=ゲームマスター
送り手が<世界>を用意していなくても、受け手は<世界>を勝手に作り出し、送り手の管理下から離れ、暴走を始めてしまう。そうならない為に世界作りとその管理を行う<物語の管理者>の存在が必要となる。この<物語の管理者>がゲームマスターである。<物語マーケティング>を行うにもその存在が重要なので、企業はゲームマスターを用意するべきなのである。

4、ディズニーランドに見る<物語消費>とその技術
街や自然に溶け込むように作られる日本の遊園地とは違い、「借景」するような形ではなく、外部との関係を断ち切って作られるのがディズニーランドである。ディズニーランドでは乗り物一つ一つに<物語>があり、その中で断片的なエピソードの情報を受け取り、それを再構築することで<物語消費>たり得ている。ディズニーランドに於けるゲームマスターは不在でも、その世界が完成していて、自律的に機能し、<ディズニー世界>を伝える文化人類学者が存在していれば増殖を続ける。

5、<物語消費>の未来
人々が「国際社会」ないしは「地球」という緩やかな母性に回収されたがっていることが日本的かつ近代的な振る舞いで、それは決して日本人の成熟を意味しない。<物語>の飢餓から人が完全に解放される社会こそが歴史の次の局面なのだろうが、そこに至るために必要なのはこの消費社会の寿命を半ば中断させるのではなく、むしろまっとうさせて終わらせる事である。

(論点)
1、 消費者はどのような<世界>を欲するのか。
2、 ディズニーランドはいつまで<実体化した虚構世界>として存在しうるのだろうか。
3、 消費社会の寿命を全うするということは<物語>が無くなる事を意味するのか。それとも必要最低限の物語だけが残されるのか。

以上
  


Posted by 安谷屋 邦尚 at 14:39Comments(0)レジュメ

2008年06月08日

文部省のまんが活用策

2008/05/27
文部省のまんが活用策

(概要)
1、 まんがに付きまとう「思い込み」
まんが=難解なものを分かり易く人々に伝えるメディアという思い込みを新左翼から新宗教、文部省までもが持っている。さらに文部省ではこの子供の読書離れに対する対策としてまんがの活用策の検討を始めた。

2、 まんがの分かりやすさ
まんがは誰にでも読める表現である。その理由は二つある。一つは「類型化」である。まんがでは一目でそのキャラクターの役割、性格等が伝わるように分かりやすく類型化されている。そこには「思想」や「言葉」自体ではなく、擬音や集中線などの技法によって説得力を持つ。
もう一つはまんがには主観しか存在しないことである。まんがは常に主人公の主観によって物語が進み、その主観が勝利することによって終る。さらにまんがではあらかじめ批評的視点が隠蔽されており批評的に物語を捕らえることが要求されず、主観に流されていくだけで良い。この構造がまんがの分かりやすさを支えている。
3、 文部省の目的
「まんが」や「分かりやすいテキスト」を用意することで、啓蒙するべき大衆を自分たちの「活字文化」的教養の許に結集しようとしている。しかし、活字を読まず、まんがしか読まない世代の下にはまんがさえ読まない世代が待ち受けている。

(論点)
1、 子供の活字離れ対策としてまんがを使うことが無意味だとすると、子供に読書させる為にはどのような方法をとればよいのか?
2、 分かりやすいようにと教科書でもまんがが扱われているが、まんがさえ読まない世代になった時、教科書は存在するのか?

以上
  


Posted by 安谷屋 邦尚 at 14:37Comments(0)レジュメ

2008年06月08日

野村証券元社員逮捕

2008/05/02
野村証券元社員逮捕(要約)
061107H 安谷屋 邦尚

インサイダー取引の疑いで野村証券の元社員である中国人が逮捕された。この元社員はM&A等を担当する部署に在籍していたが、不正取引した銘柄の中にはこの元社員の担当した企業以外の物もあり、情報管理の甘さが問題となっている。この事件で証券会社に対する不信感が広がり、M&Aへの動きが鈍くなる事が考えられている。また、国内投資家に失望感が広がってしまえば海外投資信託に流れ、資産が海外に流れ、国内株式市場の健全な発展に結びつかないかもしれない。社員教育や法令順守の徹底を図り、信用を取り戻すことが急務である。

以上
  


Posted by 安谷屋 邦尚 at 14:32Comments(0)レジュメ